不都合な真実 1
割れの真実
一枚板は割れます。
これは欠陥ではなく、木という素材の根本的な性質です。
樹木は生きている間、細胞の中に水分を蓄えながら成長します。伐採後もその水分はすぐには抜けません。乾燥の過程で木材は収縮し、内部に蓄積されてきた応力が少しずつ、あるいは一気に解放されます。その解放の痕跡が割れとして現れます。
割れには段階があります。表面に細く走るヘアクラックは、乾燥が進む木が自然に示す変化です。木口付近の深い割れは、端部から水分が抜けやすい構造上の必然から起きます。耳の際に走る割れは、外側と内側の収縮スピードの差が原因になります。
ここで重要なのは、「割れがある木は乾燥が悪い木」とは限らない点です。むしろ乾燥が進むから割れることもあります。本当に問題になるのは「いつ割れるか」と「それが事前に伝えられていたか」です。
購入前に職人が板の状態を見て、割れの可能性や注意点を言葉にしていれば、割れが起きても想定内の出来事になります。何も聞かされていなければ、同じ割れでも不信感につながります。割れの問題は、割れそのものより、説明と合意の厚みによって大きく変わります。
対処方法も事前に知っておくと安心です。蝶型の埋め木で進行を止める方法、充填して固める方法などがあります。どの方法を選ぶかは、見た目と考え方によって変わります。いずれにしても、選択肢を持つためには情報が必要です。