
恵みを広げる幅と奥行き
職人の確かな手で仕上げる逸品
No.1891 楠一枚板
重厚な広がりが印象的な一枚。食卓の中心に据えたとき、その大きさは空間に安心と余白を与えてくれます。家族や仲間が集まる場にふさわしい、包容力を感じる木の表情。ひとときの団欒が、日々の記憶として丁寧に積み重なっていくことでしょう。
年輪の奥に、風が通り抜ける気配

緻密な流れを描く木目には、風の跡のようなやさしい動きがあります。まっすぐではない、けれど揺るぎない。自然のままを受け止めたその佇まいが、空間に静かな呼吸をもたらします。手を添えたときの質感には、自然が長い時間をかけて刻んできた物語がしっかりと息づいています。

【 杢目・年輪 】
楠の杢目は、どこか水面の波紋を思わせるゆらぎを含んでいます。この波紋は、木が生きていた証そのものであり、気温や湿度、風の流れなど、育った環境すべてが刻まれています。節や筋も、個性として一体に溶け込んでいて、使うほどにその美しさが深まっていきます。


【 色合い 】
全体を包む明るい茶褐色には、ところどころ琥珀を溶かしたような艶があり、目を凝らすと淡い金色の光が漂うようにも見えます。柔らかく、けれど芯のある色合いは、空間の調和を崩すことなく、あたたかみを添える存在として機能します。

【 天板の厚み 】
やや厚みを持たせた天板は、安定感を醸しながらも重すぎない印象に仕上がっています。輪郭に沿って自然な立体感が生まれ、食卓としての格が整います。見るたびに、木の力強さが伝わるこの厚みが、空間に豊かな陰影を添えています。

【 耳・皮 】
自然が描いたままの輪郭を、職人の手で丁寧に整えています。荒々しさを残すのではなく、そっと撫でるように削り、仕上げた耳の部分には、人と木の距離を近づける温もりがあります。直線では得られない不均一な揺らぎが、まるで自然の一部を暮らしの中に連れてきたような心地よさを運んでくれます。触れるたびに伝わるぬくもりとやわらかさが、記憶として手のひらに残ります。


【 機能性・使いやすさ 】
幅と奥行きのゆとりが、6人から8人までの集まりを自然に受け入れます。中央には大皿や土鍋を置いても余裕があり、端に座る人との距離も窮屈に感じません。会話が弾み、食事が進み、ふと手を置いた木肌の心地よさに気づく時間。食卓が、暮らしの真ん中へと変わっていきます。

【 下塗り塗装 】
塗り重ねに宿る、仕上げの土台づくり
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この一枚は、ウレタン塗装の下地として、複数回にわたり刷毛で下塗りを施しています。 使用するのは、相性の異なる2種類の塗料。それぞれの特性を活かしながら、3〜5回重ねて塗布。ムラなく均一な仕上がりになるよう、細やかさと大胆さを併せ持つ職人の手仕事が求められます。
この下地づくりの精度こそが、最終的な美しさと耐久性を大きく左右します。
見えない部分にこそ、技と想いが込められています。