
流れゆく風のかたち
KIDO MEIMOKUの名品
No.1882 楠一枚板
面取りの柔らかな稜線と、緩やかな反りが描く穏やかなシルエットが印象的です。空間に置くだけで軽やかな風が通り抜けるような感覚を覚えます。角の立ちすぎない仕上げが、手に触れるたび心を落ち着かせ、暮らしのなかにやさしい輪郭を添えてくれます。
記憶を波打つように刻む年輪

中央に向かってゆるやかに広がる年輪が、波のように幾重にも重なり合っています。一点ごとに異なるその表情が、時間の流れと木の呼吸をそのまま写しとったようです。長く使い込むほどに、その奥行ある表現が生活のなかに静かに馴染み、家族の記憶を抱きとめていきます。

【 杢目・年輪 】
年輪の中心が淡く渦を描きながら、周囲にかけて微細な濃淡を生んでいます。木が年月を重ねる中で刻んできた軌跡が、直線ではなく波打つようなリズムとして表れ、見ているだけで穏やかな感情を呼び起こします。これは楠ならではの、しなやかで自由な成長過程がもたらす自然の造形美です。


【 色合い 】
明るさとやわらかさが同居したベージュトーンが全体を包みます。ごく淡くグリーンを帯びたような部分や、やや赤みが差す箇所も点在し、光の加減で表情が変化します。空間に置いたとき、重たさを感じさせることなく、柔和な広がりをもたらしてくれます。

【 天板の厚み 】
天板に宿る厚みが、全体に安定感を与えています。過度な主張はせず、けれどしっかりとした存在感を保っているその厚みは、日々の暮らしにおいて頼れる重みとして感じられます。床に近い高さで使う際にも、板の厚みが生む陰影が空間に心地よいリズムを与えてくれます。

【 耳・皮 】
片側には自然のままの輪郭を残しています。直線ではなく、微かに揺れるような線が連なり、そこに手を添えると木肌のぬくもりが伝わってきます。職人の手により、荒々しさを削ぎながらも自然の息吹は失われず、手仕事ならではの心地よさが宿った仕上がりとなっています。


【 機能性・使いやすさ 】
幅・奥行ともに余裕があるため、4人で使っても圧迫感を覚えることがありません。団らんの中心に置けば、互いの距離を心地よく保ちながら、自然と会話が生まれる場になります。お部屋に配置すると、素材の柔らかさと広がりが視覚的にも軽やかで、開放感を与えてくれます。

【 鉋加工 】
杢目の流れに寄り添い、面を整える
この一枚は、鉋を使って少しずつ平らに仕上げています。ただ平らに削るのではなく、杢目の向きや年輪の重なりを読みながら、刃の角度を細かく調整。無理に削れば、美しい木肌も傷んでしまうため、あくまで丁寧に、慎重に。
面を整えるというより、木の声を聴きながら、自然な形を引き出すような作業です。
手の感覚と経験を頼りに、滑らかで心地よい一枚に整えていきます。