
夕暮れの琥珀が宿る面
KIDO MEIMOKUの名品
No.1864 欅一枚板
穏やかな木肌の中に、まるで夕日が流れ込んだような温かな色調が広がっています。やわらかなカーブを描く輪郭は空間にゆるやかな静けさをもたらし、日々の暮らしに安らぎを添えてくれます。華美ではなく、しかし確かに目を引く存在感。静かに寄り添いながらも、どこか芯のある佇まいが、使う人の心をゆっくりとほどいてゆきます。
時が描いた、秘めやかなうねり

どこか水面のようなゆらぎを宿す杢の流れは、木が長い年月をかけて育んできた記憶のようにも感じられます。表層に現れたこの景色は偶然の産物ではなく、幾重もの季節を経て練り上げられたひとつの物語。心を落ち着けて眺めれば眺めるほど、そこに息づく自然のリズムと静かな感情が浮かび上がってきます。

この一枚には、年輪という言葉では片づけられない複雑な杢目が浮かび上がっています。うねり、ねじれ、波紋のような交錯——それらが重なり合い、まるで風景画のような奥行きを生み出しています。これらは木が雨や陽を浴びながら、気温や地層と対話して生きてきた証。見れば見るほど、自然という造形家の手業に圧倒されます。


赤味を帯びた暖色の中に、黄金色やほのかな焦茶がゆらぎながら現れ、光の加減で印象を変える奥深い色調を見せてくれます。乾いた色ではなく、しっとりと潤いを感じるような艶をたたえており、空間にあたたかみと心地よい緊張感を与えてくれます。照明や時間帯によって、まるで別の顔を見せるような楽しさも魅力です。

端部の厚みがしっかりと残された姿は、まるで重厚な詩集の一頁のよう。空間に置いた瞬間、部屋の重心がそこにすっと落ち着きます。視覚的にも確かな存在感を保ちつつ、触れたときの安定感と信頼感が、使い手の動作までも丁寧に整えてくれるように感じられます。素材の密度がそのまま空間の密度にも反映されていきます。

側面に残された自然の形状——いわゆる「耳」——には、職人が手をかけ過ぎず、しかし丁寧に仕上げた気配が残っています。荒々しさを抑えながらも、木が本来持っていた生命力を尊重するような仕上がりで、均整の中にささやかな自由を感じさせてくれます。無垢材であることを視覚だけでなく、触れた感覚からも感じられる部分です。




幅と奥行きのバランスがゆったりととられているため、来客時にも6人が自然に囲める余裕があります。中央に器や花を置いても窮屈さを感じさせず、周囲との距離感が心地よく保たれます。広い面を活かして、お茶の時間には複数の道具を並べたり、作業の場としても重宝します。ひとつの家具がもたらす静けさと機能美が、暮らしを静かに引き上げてくれます。