
やわらかく広がる輪郭
KIDO MEIMOKUの名品
No.1852 栃一枚板
ふちが丸く波打ち、まるで水面に花が咲いたようなやわらかな印象をもつ一枚です。天板の端から端まで均一でない形が、空間に自然なリズムをもたらし、角のない佇まいは穏やかな気配をまとっています。暮らしの中心にそっと置くことで、部屋全体がどこか落ち着きある景色に変わります。
木の中に描かれた大地の記憶

中心から放射状に広がる杢目には、まるで地形図のような奥行きが現れています。年輪の軌跡を縫うように濃淡が入り混じり、まるで内側から大地の記憶が浮かび上がってくるようです。木が長い時間をかけて積み重ねてきた日々が、視覚として感じ取れるような深みのある表情に仕上がっています。

【 杢目・年輪 】
濃い部分と淡い部分が複雑に絡み合いながら、幾層にも重なるように現れる杢目。その源には、育った場所の光や風、地形の変化といった自然の影響があります。内側に秘めた痕跡が、時に優しく、時に荒々しく表面に現れ、木という素材の多層的な魅力を伝えてくれます。


【 色合い 】
天板全体に広がる色調は、優しいクリーム色を基調としながら、ところどころに深い琥珀色が滲むように浮かび上がります。このコントラストが、平面的な印象を打ち消し、視線に奥行きを与えてくれます。穏やかな色合いの中に、自然が描いたひと筆が加わることで、静かで豊かな表情が宿ります。

【 天板の厚み 】
しっかりと厚みのある板が、視線の低い位置からも確かな存在感を放ちます。輪郭のやわらかさと対照的に、下に向かって厚みを湛えた姿は、重心が安定していて、安心感のある印象です。見上げるような角度からもその厚さが際立ち、空間に強い軸を与えます。

【 耳・皮 】
側面には、木が生きていた頃の名残がそのまま活かされています。波のように連なる曲線は、自然が生んだかたちを削ることなく丁寧に磨き上げたものです。ひとつひとつの凹凸は、職人が刃物の当て方を細かく調整しながら仕上げた証。触れたときの感触もまた、視覚とは違った豊かさを伝えてくれます。


【 機能性・使いやすさ 】
空間の中央に据えると、やわらかな曲線が広がり、部屋に流れる空気がやさしく整います。4人で囲んでも適度なゆとりがあり、飲み物や読みかけの本、季節の花を飾るなど、暮らしの中のいくつもの瞬間を受け止めてくれます。大きすぎず、どこか懐かしさのある佇まいが、毎日の時間を包み込みます。

【 耳・皮加工 】
自然の輪郭を活かす、耳の仕立て
この一枚は、木の外皮に近い「耳」部分を丁寧に整えています。自然がつくった曲線や凹凸には、その木ならではの力強さと個性が宿ります。その表情を壊さぬよう、滑らかさだけを加えるように手作業で加工。
荒々しさと肌触り、そのどちらも損なわずに仕上げることで、唯一無二の存在感が生まれます。
「整える」のではなく、「そのままを活かす」ための、繊細な仕事です。