
春の陽だまりを閉じ込めたような木肌
KIDO MEIMOKUの名品
No.1848 桜一枚板
穏やかな光に照らされた午後、部屋の真ん中で静かに呼吸するような一枚です。桜の板面が描き出すのは、まるで春の空気をそのまま写したような、やわらかな杢目の揺らぎ。ゆるやかに波打つ輪郭が、整いすぎない自然の美しさを宿しています。過剰な装飾はそっと退けて、木そのものがもつ気配をまっすぐに伝える姿が、暮らしのなかで心地よい余白をもたらします。
静寂のなかで浮かぶ、桜のささやき

全体に控えめな表情を見せながらも、中央を貫く淡い濃淡がそっと視線を誘います。艶を抑えた桜の板面は、触れた指先にしっとりとした優しさを返し、部屋の空気まで落ち着かせてくれるようです。中央に添えられた器が静かに佇む姿からは、用の美と静謐な空気が重なるような、ひとつの風景が立ち上がります。

整いすぎない流れのなかに宿る、微かな揺らぎが美しい一枚です。年輪の重なりが緩やかな流線を描き、ところどころに現れるほのかな節が自然の記憶を刻んでいます。杢目のゆらぎは、育ってきた森の光や風、幹の内側を通った水の流れに起因するものであり、その痕跡こそが一枚板ならではの魅力となっています。


全体としてはあたたかな飴色の木肌でありながら、縁に向かってごくわずかに淡くなる色の移ろいが印象的です。自然な濃淡が板面に奥行きを与え、見る角度によって表情がわずかに変わっていきます。明るい部屋にも、落ち着いた和の空間にも馴染む柔らかな色合いが、日常に穏やかな時間を添えてくれます。

繊細な印象を持ちながらも、板そのものには確かな厚みがあります。重心が低く保たれることで空間に落ち着きが生まれ、使い手に安心感を与えてくれます。見た目の重厚さではなく、素材の質と手仕事が生む品格によって、部屋の景色そのものを整えるような存在感をそっと湛えています。

耳の部分は、製材後も人の手で丹念に削り整えられた跡が残り、荒々しさのなかにもどこか優しさを感じさせます。自然の樹形を活かしたゆるやかな曲線が、ひとつとして同じ形のない魅力を持ち、手仕事の確かさを物語っています。無骨すぎず、造りすぎない絶妙なバランスで仕上げられたこの耳が、全体に柔らかな印象を与えています。




幅・奥行きともにゆったりと確保されており、4〜6人で囲んでも圧迫感がなく、料理や道具を広げても余裕のある設計です。床に座って過ごす時間を心地よく支える高さと広さで、家族団らんの食卓としても、ひとり静かに過ごす読書の場としても、暮らしに溶け込む柔らかな佇まいです。空間全体に調和をもたらしながら、自然と集いの中心となる一枚です。