
線が生きる造形美
職人の確かな手で仕上げる逸品
No.1847 欅一枚板
張り詰めたような緊張感と、滑るように続く柔らかな曲線が同居するこの一枚は、職人の研ぎ澄まされた感性が息づく作品です。導かれるように自然のかたちをなぞりながら、余白と抑制を巧みに配し、空間に確かなリズムを与えます。そこにあるだけで場の気配を整えてくれる静かな存在感が、日常の中の特別な時間を育てていきます。
自然が描いたひと筋の余韻

中央に流れる濃密な赤褐の模様は、かつてこの木が風雪に晒され、幾重にも積み重ねた年月の証です。節を包むように伸びた筋は、まるで内に秘めた物語を滲ませるように空間に静けさと深みをもたらします。使い込むごとに光の角度で表情を変え、時間の経過をゆっくりと映し出してくれます。

年輪が波打つように連なりながら、繊細に揺らぎを見せるこの杢目は、長い歳月を経て山の中でじっくりと育まれたことを物語っています。特に中央部には左右対称に広がるような木目の重なりが見られ、まるで水面に波紋が広がる瞬間を捉えたかのような静かな躍動感があります。一つとして同じものが生まれない、この木だけの景色です。


赤みを帯びた黄金色の表層は、ほんの少し曇りを含みながらも明るく、やわらかな光を優しく反射します。部分的に表れる濃淡は、樹の内にあるエネルギーのように見え、静かに息づく温もりを感じさせます。四季の移ろいを映すように、見る時間や角度によっても違った色味が現れ、飽きることのない風合いを育てていきます。

側面にたっぷりと厚みをたたえたこの一枚は、見る者に確かな存在感を伝えながらも、重たさを感じさせない均整の取れたバランスがあります。縁のシャープな輪郭と滑らかな面の対比が絶妙で、空間全体に静けさと力強さを同時に与えてくれます。置くだけで部屋の中心に意志を宿す、そんな佇まいを備えています。

緩やかな起伏を描く耳の形状は、鋸も刃物も通さず、職人の手作業だけで丁寧に整えられています。自然がもたらした輪郭をそのまま受け止めるように、わずかな凹凸すらも美しく調律されており、掌で触れたくなるような優しさを宿しています。均一化された製品にはない、有機的なかたちと素材そのものの力強さが、空間に一層の豊かさを添えます。




約1900mmの幅を持つこの一枚は、4~6人でのゆったりとした食卓のひとときを支えます。奥行きには自然の形を活かしたゆらぎがあり、対面で座る人との距離感にも程よいゆとりを生み出します。家族で囲む日々の食卓にも、来客を迎える特別な場にも、凛とした存在感とやさしい空気を纏わせてくれる存在です。