
やわらかな風を孕む幅感
職人の確かな手で仕上げる逸品
No.1841 楠一枚板
四人がゆったりと囲める程よい広がりに、無垢の木肌が生きる一枚。幅と奥行きのバランスが心地よく、空間に対して優しい輪郭を描きます。まっすぐでいてどこか有機的なそのかたちは、置かれる部屋に自然と馴染み、暮らしの中心へと静かに存在を移してゆきます。
まるで水墨画のような杢の濃淡

木の中心から染み出したように広がる黒褐色の模様が、どこか絵画の筆致を思わせます。力強さと繊細さを兼ね備えたその表情は、年月をかけて生まれた時間の痕跡そのもの。節の存在もあいまって、無垢材が持つ生命の鼓動がそのまま天板に息づいています。手に触れるたび、木と対話するような感覚が生まれます。

【 杢目・年輪 】
流れるように波打つ杢目には、目には見えない風の道筋があります。中心に現れた節とその周囲のゆらぎは、木が過ごしてきた季節の証。長年積み重ねた時間が目に見えるかたちになったとき、それはただの模様ではなく、記憶となってこの一枚に宿ります。機械では決して再現できない自然の曲線が、心の奥に語りかけてきます。


【 色合い 】
赤味を帯びた淡いベージュに、やさしく重なる濃淡のグラデーション。ひと目で楠とわかるその色合いは、穏やかながらも芯のある印象をもたらします。光の角度によって表情を変え、日常の中に微細な変化と美しさを添えてくれます。明るい空間にも、落ち着いた空間にも自然に馴染む色です。

【 天板の厚み 】
指先に伝わるしっかりとした厚みが、安定感と安心をもたらしてくれます。目線を落とすと、木口の厚さが生む影がさりげなく床面を包み込み、空間に奥行きを与えます。自然の厚みをそのまま活かしたことで、天板全体にどこか温もりのような重みがあり、家族の記憶をそっと支える土台になっていきます。

【 耳・皮 】
側面に沿って波打つ耳のかたちは、職人の手で丁寧に仕上げられたものです。刃を入れるたびに木がもつ素地の表情を確かめながら、削るのではなく“整える”という感覚で輪郭が整えられています。まるで水辺の流れが自然と石を丸くするように、そっと撫でたくなるような手触り。人工的な直線を避けることで、楠が本来持つ優しさが、そのまま形になっています。


【 機能性・使いやすさ 】
全体にゆとりある設計で、四人が無理なく囲める配置となっています。横並びでもゆとりがあり、会話の距離感も心地よく保てます。奥行きにもしっかりとした幅があるため、食事を並べても狭さを感じさせず、中央には季節の草花や道具を添える余白が残ります。日々の食卓として、また家族の時間の真ん中に据える場所として、自然に役目を果たしてくれます。

【 研磨加工 】
触れたくなる木肌へ、丁寧な磨き仕上げ
この一枚は、ベルトサンダーを用いて丹念に磨き上げています。まずは荒い研磨で水平を整え、そこから段階的に細かな粒度のベルトへと移行。木の質感を損なわぬよう、力加減や角度を微調整しながら、何度も手をかけていきます。
時間と手間を惜しまず仕上げた表面は、手のひらにすっとなじむような滑らかさに。
この工程を経て、木はようやく触れたくなる存在へと変わっていきます。