
静けさを纏う杉の余白
職人の確かな手で仕上げる逸品
No.1659 吉野杉一枚板
まるで長く暮らしてきた家の中に、ふと差し込んだ静かな陽だまりのような存在感があります。吉野杉特有のあたたかな赤味が、時間の流れを柔らかく包み込み、空間全体に安らぎの気配をもたらします。直線と自然な揺らぎが交差する輪郭が、整いすぎない美しさを宿し、和洋を問わず、心を解く場所に寄り添ってくれます。
木の時間を受けとめる節と流線

天面にあらわれた節のまわりには、年輪が幾重にも重なりながら、ゆるやかに渦を巻いています。それは木が過ごしてきた静かな年月の痕跡であり、自然の意志のようなかたちです。整った木目の中に浮かぶ節がひとつあるだけで、その板が唯一無二の存在として空間に現れ、そばにいる人の目をやさしく引きつけてくれます。

この吉野杉には、中心から外縁に向かって流れるように走る繊細な木目が刻まれています。年輪が細かく密に並ぶことで現れるこの文様は、寒暖の差や成長の遅さに由来するもので、木がゆっくりと歳月を重ねた証です。その穏やかな表情は、日常の中にすっと溶け込みながら、見るたびに少しずつ新しい発見を与えてくれます。


芯に近い部分の深い赤褐色と、外側に広がる淡い生成り色の対比が、吉野杉の魅力をひときわ引き立てています。自然なグラデーションが光に応じて表情を変え、季節や時間の移ろいまでも映し出すようです。素肌のようななめらかさと、あたたかな木肌の彩りが、空間の中でやさしく呼吸をしているような印象を与えてくれます。

しっかりとした厚みを持たせることで、床に近い位置でも存在感が際立ちます。重厚でありながら、重たくなりすぎないのは、杉の持つ柔らかな表情のおかげです。その厚みが安心感をもたらし、季節の飾りやお茶の時間をそっと受け止める、暮らしの土台として機能します。

耳の部分には、削りすぎることなく自然の輪郭を生かした仕上げが施されています。やわらかな凹凸や小さなささくれも、すべてがこの一枚の歴史を物語る証です。職人が一つひとつ手をかけながら形を整えていく中で、あえて残されたその揺らぎが、規則的な中にも不意の詩情をもたらしています。触れたときの質感もまた、木のいのちを感じさせてくれます。




幅と奥行きにしっかりと余裕があるため、来客時には3〜4人が自然と集まる場としても活躍します。広すぎず狭すぎない絶妙な大きさが、リビングの中にくつろぎと整いのバランスをもたらします。日々の食事や読書、花を飾る時間さえも、ゆったりとしたひとときへと変えてくれる、そんな道具として暮らしに根を下ろしてくれます。