
荒々しさを抱いた、静謐な面
職人の確かな手で仕上げる逸品
No.1631 屋久杉一枚板
この天板の端に息づくのは、屋久杉のもつ深い生命力です。なだらかに流れる木目の中に、黒く炭化したような荒々しい造形が突如として現れ、空間に力強いアクセントをもたらします。自然が長い年月をかけて刻み込んだこの凹凸は、人工的には決して再現できない、ただ一つの形。やわらかな質感と鋭い存在感が交差するこの天板は、日々の暮らしに特別な余韻を与えてくれます。
年輪のうねりが描く、永い時間の軌跡

見下ろす視点から広がる屋久杉の表情は、まるで地図のようです。大地に根を張り、幾重にも重なる年輪が穏やかな波のように広がる様は、一本の木が辿ってきた時間そのもの。中央には小さな節が点在し、ところどころ黒みを帯びた痕跡が、過去の傷や雨風の記憶を物語ります。まっさらなだけではない、過去を重ねたものだけが持つ美しさが、ここには確かにあります。

【 杢目・年輪 】
この一枚板の魅力は、目を凝らせば凝らすほど深まっていきます。年輪が濃淡を描いて波打つように走る様子からは、何百年と生きてきた樹の呼吸が感じられます。風に揺れ、雨を受け、苔に覆われ、また陽に照らされた屋久杉が、山の奥でじっと時を重ねてきた証が、まさにこの杢目です。見る角度や時間帯によっても表情を変え、暮らしの中にささやかな発見と喜びを届けてくれます。


【 色合い 】
全体に広がるやわらかな黄褐色は、経年によってやさしく深まり、屋久杉特有の温かみある空気を纏っています。特に中央に向かって広がる柔らかな色の移ろいが、室内の光を受けてほんのりと揺らめき、まるで木肌そのものが呼吸しているかのように映ります。天然の色味だからこそ生まれる豊かさが、空間全体に心地よい明るさと落ち着きをもたらしてくれます。

【 天板の厚み 】
目線を落としたときにまず感じるのは、その厚みから伝わる確かな存在感です。手を添えたときに感じる重量感と、わずかに丸みを帯びた縁の手触りが、どこか安心感を与えてくれます。空間に置かれたとき、ただの家具ではなく、そこに「在る」こと自体がひとつの風景になる。そんな静かな威厳を持った一枚板です。日々の暮らしにそっと寄り添いながらも、揺るぎない軸として在り続けてくれます。

【 耳・皮 】
側面には職人の手がそっと添えられ、自然の造形をそのままに磨き上げた「耳」の美しさが際立ちます。波打つような稜線には、自然がつくり出した細やかな凹凸が残されており、あえて削り過ぎず、木そのものの表情を活かすよう丁寧に仕上げられています。手でなぞると、かすかにざらつきが残り、それがこの一枚板の歩んできた歴史を感じさせます。人工的な直線ではなく、野山の気配をそのままに持ち込んだような味わいがあり、空間に深みと豊かさを加えてくれます。


【 機能性・使いやすさ 】
ゆとりある幅と奥行きは、家族の集いに温かな余白を与えてくれます。4人から6人が心地よい距離感で向かい合えるサイズ感でありながら、広すぎる印象はなく、居心地の良さを保っています。テーブル中央に器や花を配しても空間が埋もれず、料理や会話が自然と中心に集まるような設えになっています。どの角度から眺めても木の存在が際立ち、生活のなかに穏やかな中心をつくり出します。

【 仕上げ塗装 】
暮らしに寄り添う、美しい仕上げ
この一枚は、艶を抑えた水性の特殊ウレタン塗装で、仕上げのスプレー塗装を行っています。完全な艶消しによる上品な質感は、木の表情を損なわず、自然な躍動感をそのままに。撥水性にも優れ、日常使いの快適さを保ちながら、身体にも無害なやさしい塗料を使用しています。
見た目だけでなく、手触りや使い心地までを考え抜いた、暮らしに調和する最終仕上げです。
美しさと機能性、そのどちらも追求した塗装です。