静けさを湛える大きな輪郭
KIDO MEIMOKUの名品
No.1870 栃一枚板
ゆったりとした奥行きと二メートルの幅が生むのは、日常にひとつ芯のある落ち着きをもたらす佇まいです。栃のなめらかな木肌と流れるような縞模様が、目に優しく、手にしっとりと馴染みます。あぐらをかいて過ごす和やかな時間や、背を預けて深く話す夜にも静かに寄り添ってくれる一枚です。
乾いた空気に星を置いたような景色
上から覗くと、ゆるやかな濃淡が静かに広がり、中心には透き通るような黄金の枝が影を落としています。年輪が幾重にも重なり、呼吸するように波打つ杢目。その風合いの中に、小さな花器ひとつを置くだけで、空間全体がひっそりと整います。ふとした瞬間に目を奪われるような、視線の居場所を持った板面です。
片側にだけ、墨をひいたような黒の縁取りが見られます。濃淡の境目がなだらかに交差するその部分には、栃の木が年月をかけて蓄えた滋味が宿っています。虫喰いや瘤を含まない端正な杢目ながら、わずかな点や揺らぎが板に豊かな表情を与えています。木が育った環境と、それに応える職人のまなざしが映し出されたような表面です。
全体を通して、光を帯びたような淡い琥珀色が広がっています。真ん中にかけて淡く伸びるクリーム色のグラデーションが、空間に静けさを与え、家具や小物の色を引き立ててくれます。ひとつの板の中で複数の色彩が緩やかに混ざり合うことで、見る角度や時間帯によって、微妙に印象が変化するのも魅力のひとつです。
端を触れると、木そのものの密度と厚みがしっかりと伝わってきます。見た目には過度な存在感を主張せず、それでいて指先から重厚な安心感が伝わる仕上がりです。厚みがあることで、部屋全体に落ち着きが生まれ、天板のラインにも凛とした緊張感が宿ります。深みのある家具を置きたい方にふさわしい板です。
側面には、機械では削れない自然な曲線が残されています。職人が鉋を手に、その木が本来持つうねりを感じながら、丁寧に仕上げた耳の部分。ところどころにわずかな凹凸があり、それが手のひらに心地よく触れます。形にしすぎない、けれど無骨すぎないこのやわらかな曲線は、空間にほどよい余白と温もりを添えてくれます。
横に並んで食事をしても、反対側で本を広げても余裕のある寸法です。最大奥行きが広く取られているため、片側に花器や道具を置いたままでも十分な作業スペースが保たれます。家族や仲間が集う空間に置いても、その存在が広がりすぎず、静かに部屋の中心となってくれる板です。使う人数や用途に合わせて自然に馴染んでくれます。
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